ふじみの国際交流センター(FICEC)~外国人と創る多文化共生社会~

埼玉県のNPO法人ふじみの国際交流センターの日々の活動と感じたこと

どうするDV被害者家族

FICEC(ふじみの国際交流センター)へ向かう先々で、白やピンクのサツキの花
が目につくようになった。もう4月も下旬。子どもたちが新しいクラスに慣れ始めた
ころである。しかしDV被害にあった女性の同伴児童は学校にも行けない。被害者の
95%が生活保護のため、受け入れてくれる転宅先の行政が絞られ、アパート探しが
難しくなった。そのためシェルターでの長期滞在家庭が増え、ママには日本語を、子
ども達には長期休暇をカバーするための教科指導をするのだが、勉強が嫌いな人が多
く、必要性を説いて、教えることに苦慮している。

平成26年度にFICECで保護したDV被害者母子は4家族。暴力夫の半数は外国
人だった。つまり外国人同士の国際結婚での暴力である。外国人の場合、DV被害を
受けていても在留資格によって保護できる人と、保護できない人があるが、今日本に
住んでいる人の7割は永住か定住のビザを持っているので、大半の被害者は保護でき
る。しかし、日用語が日本語でないため、長年日本で暮していたにも拘らず、母子と
もに日本語が不自由な人が多い。シェルター退去後、母子だけの日本語だらけの生活
をきちんとやっていけるのか危惧される。また、基本的な生活習慣ができていない家
庭が多いのも気になる。

17年間のシェルター運営の経験から思うことは、シェルター退去後すぐアパートに転
宅させるよりも、基礎生活力がつくまで母子支援施設で2、3年生活ができるとよいと
思える母子が多い。さらに「自分で頑張ろう」とか「自立しよう」とか「日本語を
勉強しよう」と思ってくれるようになるとよい。