ふじみの国際交流センター(FICEC)~外国人と創る多文化共生社会~

埼玉県のNPO法人ふじみの国際交流センターの日々の活動と感じたこと

見えてきた在住外国人の課題

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

なかなか更新できないブログですが、今年もよろしくおつきあいください。

ふじみの国際交流センター理事長石井ナナヱによる「見えてきた在住外国人の課題」をご覧ください。

 

見えてきた在住外国人の課題(思うままに)

 毎日外国人と接していると外国ルーツの人たちの現状や課題がいろいろ見えてくる。

  • 最大の問題は、移民に対する関係省庁がないこと。日本国籍の人を含めて日本語が話せない、日本語の読み書きができない在住外国人がたくさんいる。読み書き会話は日常生活を送るうえで基本となるもので、近所とのトラブル、仕事探し、病院に行きたくても症状を伝えられないなど、すべての問題の元になっている。
  • 文部科学省の調査で日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒が10年前の倍以上に増えているのに文科省自体が動かないのが不思議に感じる。イギリスやオーストラリアのESL制度のような第2言語としての日本語教育を何よりも先だって制度化する必要性を訴えたいのだが、移民に対する担当省庁もなく、真剣に考えてくれる国会議員もいない現状である。
  • 次に国際結婚とそれに伴う離婚や再婚が急増していることに恐怖を感じている。総務省の調査によると2010年の日本人と外国人の国際結婚は30207件、同年の日本人と外国人の国際離婚は63%、18968件あった。FICEC近郊でもそれは顕著で、在留資格を得た途端に離婚した外国人が、新たに出会った外国人と再婚する例が増えている。
    「日本人との離婚の認め人になって」と頼んできた人が1年もたたないうちに
    「好きな人ができたから結婚の認め人になって」と頼みに来る。愛が全てと主張する彼女たちの身代わりの速さに度肝を抜かされるが、そんな親の生き方に翻弄されている子どもが多い。
  • 外国人同士の結婚が増えると日常会話が日本語でない家庭が増え、外国籍の、でも在留資格はある子どもが生まれ、日本の学校に通うようになっても、親は学校からの通知が読めず、宿題も見てもらえない。
  • 外国人妻を軽んじる日本人男性が多くDVも多発している。隣の人を殴れば犯罪になるが、女房ならタダでいくらでも殴っていいと勘違いしている男性への罰則はないのかと腹立たしい。
  • 被害女性の中には自立できないために暴力夫のもとに帰ってしまう人や、生活保護とは何かを理解できない外国人が多く、保護を受けると働こうとしない人もいる。
  • またDVを見て育った子どもの心理と影響も重大問題で、トラウマで苦しんでいる子供や、親からの虐待で精神病にかかってしまった子どもを何人も見ている。
  • こんな家族にはFICECの機能だけではカバーしきれず、生活の基礎から教えて相談に乗ってくれる母子支援施設の必要性を強く感じる。
  • それと共に収入の少ない女性の生き方にも指導が必要で、家計費のやりくりだけでなく職業訓練や職業里親制度の導入など、そばについて親身で就労支援してくれる機関があるとよい。
  • 先日、夫から家を追い出されたフィリピン人に同行して市役所に行ってみて、DV被害者以外では世帯主でない女性を支援する制度がないことが解った。
    要するに、住宅援助制度も生活費一時貸しも世帯主である男性が困った時に貸してくれるもので、仕事がなくお金がなくても「離婚をしてない状態では世帯主ではないので援助できない」と言われた。
    生活保護は受けたくないし離婚はしたくない女性はどうしたらいいのか。男性中心の考えはまだまだあることに驚愕した。
  • 家族滞在の子どもは日本の中学や高校を卒業しても正社員にはなれないという資格外就労ビザの限界や、親と同居していない子は全日制の高校を受験する資格がないこと等、日本の制度と外国ルーツの子ども支援のはざまで困ったりしている。
  • 日本は現在、海外から労働者を受け入れる施策はあるが、国内の外国人の就労支援をする施策がない
  • 住環境の整備、福祉や健康対策、職業指導等、彼らが人として生きていかれるように、どんなことが必要か、社会全体で考える時期が来ていると思う。